布留川 勝の人材育成の現場日記

G研報告(第176回):日本人のグローバル化とグローバルレベルでの幹部候補育成

2018/12/07

グローバル人材育成研究会(G研)

グローバル企業

リーダーシップ

多国籍セッション

選抜部課長

今週、アジア3カ国(ミャンマー、タイ、ベトナム)から帰国した。日本人の駐在員に関して現地でいろいろ思うこともあり、またその件に関しては改めてシェアさせていただきたいと思う。11月のG研でも日本人のグローバル化に関してご参加者からも非常に素晴らしいご意見を頂戴したので、ここに簡単にご報告させていただきたい。

11月21日(水)に第176回G研
「株式会社商船三井、大陽日酸株式会社の2社事例発表!
日本人のグローバル化+グローバルレベルでの幹部候補育成
戦略人事として今、何をすべきか?」を開催した。

株式会社商船三井様からは人事部One MOL人事マネジメントチーム サブチームリーダーの黒田賢太様にご登壇いただいた。企業のグローバル化のフェーズでの自社の立ち位置、グローバルグレーディング、海外拠点と日本のリーダー層を集めて行う経営人材候補の育成などをかなりオープンにお話しただいた。このようなグローバル規模かつ多国籍の経営人材候補の育成には、経営トップのコミットメントが重要だが、商船三井様では様々な施策を通じて受講者が経営トップとの直接対話が出来るように工夫をされている。多国籍セッションの場合、一般的に海外拠点の外国人と日本本社勤務の日本人では全社戦略に対する情報量が異なることが多い。受講者同士の横のネットワークづくり、および経営トップとの直接対話を通じて、グローバル規模での相互理解、信頼関係を作っていくプロセスは、大きなビジョンと粘り強く続ける覚悟が重要だ。私も毎回、このプログラムの最終発表の場にお呼びいただくのだが、商船三井様は年々、本気度がより増しており、組織のグローバル化と人の育成を最重要課題だと捉え、取り組んでいらっしゃる様子が本当に伝わってくる。

大陽日酸株式会社様からは、人事部 副部長 兼 人事課長の高月秀文様にご登壇いただいた。もともと、海外現地法人に赴く社員の固定化を防ぐという課題意識から始まった日本人のグローバル化プログラムについて詳細をお話しいただいた。既に10年以上に渡って行っているプログラムで総勢167名の方々に受講いただいていおり、1期生はすでに海外現地法人の社長を務めている方もいらっしゃる。過去に受講した上司の推薦で、部下や後輩が受講することも増えてきており、社内での確実なパイプラインが出来ているという。毎回、最終プレゼンテーションには、経営トップのみならず、総勢100名超の聴衆がいらっしゃる。これは社内掲示や館内アナウンスなどを通じて呼びかけているそうで、成果発表を限られた人だけの場にせず、全社を挙げて取り組むという本気度を感じる。このような最終成果発表の場を社内広報に載せている企業は多いが、終わった後に報告ではなく、その場に社員を巻き込むという施策は素晴らしい。

ご参加いただいた皆様からは、
・30代の選抜人材をどう見極めるのか?
・グローバルに取り組む必要性を叫ぶ経営層と、全く実感がない現場との温度差があり、人事部門としてどうすべきか?
・トップのコミットメントをどう施策に結びつけるのか?
・グローバルグレーディングの活用法 などの
質問も多くいただき、充実したディスカッションとなった。

議論の一つに、経営人材とグローバル人材はイコールか?
というものがあった。私は英語ができるか否かという意味ではなく、経営人材はグローバルリーダーとしての資質が必要であることは当然のことと考えている。この議論が根強くあるのは、日本社会において英語は得意ではないが経営者としては尊敬される人物が多くいるからなのだろうか。

結論から言うと、これからの経営人材は、いずれにしてもグローバルな環境においても魅力的な人物、すなわち英語でビジョンをが語れ、多国籍の社員たちと腹を割ってコミニュケーションを取れるような人材でないと、経営のスピード感もダイナミズムも落ちてしまう、と私は考えている。

もちろん中には例外的な人物も入ることも付け加えておきたい。突き抜けた人材と言うのは、そのスケールで人々を魅了してしまう。ただそれにしても、もはや先進国でも新興国でもグローバルでビジネス展開する企業のリーダーは、自ら直接情報収集し判断基準にする能力は不可欠。世界の潮流や文化を理解していないリーダーというのは存在しないのも事実である。

当日はパーティにも多くご参加いただき、研究会だけでは時間が足りなかった話にも花が咲いた。

私がグローバル人材育成研究会を始めた当初に思い描いていた、人材育成担当者同士のネットワークと熱い議論。まさにそれを実現できた研究会だったと思う。ご登壇いただいた二社様はもちろん、ご参加いただいた方々にも感謝したい。

ご登壇いただいたお二人、専務の福田と一緒に

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