布留川 勝の人材育成の現場日記

G研報告:ハーバードビジネススクール最新動向

2014/10/21

グローバル人材育成研究会(G研)

ビジネススクール

去る10月16日(木)に
第105回グローバル人材育成研究会
「ハーバードビジネススクールのディレクターが語る!
エグゼクティブエデュケーションの最新動向と
日本のグローバルリーダー育成の課題」
を開催した。

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今回は、特別企画として、
ハーバードビジネススクールから
ハーバードビジネスパブリッシングのMr. Perdeep KumarとMr. Vinay Hebbar、
日本リサーチ・センター長の佐藤信雄氏、
エグゼクティブ・エデュケーションディレクターのMr. Philippe Labrousse

にお越しいただき、非常に豪華な会となった。

実は、私とハーバードビジネススクールの付き合いは長く、
かれこれ15年以上になる。

私は20年前以上から日本人のグローバルリーダー育成をするにあたって
英語力のみに焦点が当てられすぎることに問題点
を感じていた。
2000年に弊社を起業した理由のひとつもそこにある。
そこで起業後すぐに世界一のリーダー育成機関として自他ともに認めるハーバードビジネススクールを訪れ、その当時のエグゼクティブ・エデュケーション、エグゼクティブ・ディレクターのDr. Lynton Hayesにそのことをダイレクトにぶつけてみた。
彼もエグゼクティブ・エデュケーションで日本人が発言しないのは、英語力だけのせいではない、という共通の課題意識を持っていることがわかり意気投合し、以来ハーバードビジネススクールとは非常に親しくさせて頂き多くを学ばせていただいている。
(2008年にDr. Lynton Hayesを迎えてG研を開催した時の様子はこちら)

今回の研究会の私のパートでは、
エグゼクティブ・エデュケーションがいま注目されている理由、
そして、人選や事前研修を組み合わせることの効果を主にお話した。

エグゼクティブ・エデュケーションが注目されている理由としては、
やはり下記4点が挙げられる。

・グローバルリーダー育成の場としてこれ以上の「場」がない
(世界トップの教授 X グローバルエリート)
・優秀人材のリテンション(Aクラスリーダーは最高の教育を求める)
・後継者育成(プロフェッショナル後継者が不足)
・クロスボーダーM&Aの増加

私自身もボストン本校でコースを受講した経験があるが、世界トップの教授陣と参加者が正解のないケースメソッドで意見をぶつけ合う刺激は強烈である。慣れ親しんだ国でその国の文化と常識で日本人だけとディスカッションする何十倍も自分が見えてくる。

ただし、ハーバードでの経験をフルに生かすためには、相当の事前準備が欠かせない。
発言が少なくプレゼンスが少ないとまず人が寄ってこない。従って人とのダイアログからの学びや気づきが半減し投資が無駄になってしまうのだ。
そのために、当社では下記のようなトレーニングを事前研修として提案している。

・ ケーススタディの参加方法
・ ディスカッション、ファシリテータースキル
・ プレゼンテーションスキル
・ ディベートスキル
・ 経営フレームワーク
・ ダイバーシティスキル
・ 日本について語れるための知識
・ ソーシャルスキル
・ インプレッションマネジメント

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ハーバードのカリキュラムは
ラムチャランのリーダーシップパイプラインで説明がしやすい。
Eラーニングと教室での集合研修がそれに応じた形で設計されている。

Stage 1-5はHarvard Manage MentorというEラーニングで、
Stage 4以降は、ボストン、上海、ムンバイなどのキャンパスで
集合研修として行うという形だ。

Stage 1: Manage Self (自分自身のマネジメント)
Stage 2: Manage Others(他者のマネジメント)
Stage 3: Manage Manager (マネージャーのマネジメント)
Stage 4: Manage Function (機能別部門のマネジメント)
Stage 5: Manage Business (事業のマネジメント)
Stage 6: Manage Group (事業部門のマネジメント)
Stage 7: Manage Enterprise (企業のマネジメント)

(リーダーシップパイプラインモデル (Ram Charan & Noel Drotter, 2001))

ハーバードビジネスパブリッシングのPerdeepとVinayからは、
Harvard Manage Mentorの紹介の他、
日本企業が直面している課題について、
お越しいただいた皆様と一緒にディスカッションを行った。
・若い世代の「安定志向」が組織にもたらす影響、
・反対に、マネージャーレベルのグローバルマインドセットへの拒絶、
・イノベーションを育む組織土壌など、様々なトピックについて意見が相次いだ。

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日本リサーチセンター長の佐藤氏からは、ハーバード発祥のケースメソッドがなぜリーダー育成に有効なのか、という視点でお話いただいた。「リーダーとは、組織の問題解決のためにあらゆる手段を講じ続ける人」だと佐藤氏はおっしゃっていたが、私も全く同感だ。組織の問題はどんどん複雑になっており、決断のスピードがますます重要になっている。

「正解がない」ケースを、世界各地からの多様なクラスメイトと一緒に
スピーディーに深く議論する
ことで、
自分のリーダーシップが変化・深化・進化していくのだろう。
まさにビジネススクールが
Transformational Experience
と言われる所以だ。

Philippeからは、
日本企業のフォーカスが20年以上の職務経験がある幹部育成から、
もう少し若い、10年~15年程度の次世代リーダーの養成
焦点が移っている、という話があった。
シンガポールやタイなどと比べると、
はっきりとした日本企業のトレンドであり、興味深い。

この傾向は、私も感じているところだが、下記のような理由があるのだろう。

① 50代のリーダー層でハーバードビジネススクールで
英語でディスカッション出来るような人物が極端に少ないこと

② 40代のうちに投資を開始した方がROIが良いこと

また、日本企業は、ハーバードビジネススクールの
上海やムンバイのグローバルキャンパスへの参加が
他の地域と比べると非常に少ない
、という話もあった。
おそらく、これはそのようなキャンパスの存在が
日本ではまだ浸透していないことが考えられるので、
今後は私も積極的に情報提供をしていきたいと考えている。

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来月11月27日(木)は、CEIBS (China Europe International Business School) 
担当者が来日して、当社オフィスで6名限定の研究会を行う予定だ。

CEIBSは上海に拠点を置くビジネススクールで、
FT Times のGlobal MBAランキングでは、
Executive MBA部門で世界10位
の地位を誇る。

CEIBSは中国大陸で初めてフルタイムMBAやExecutive MBA、
エグゼクティブエデュケーションを導入したビジネススクールで、
FT TimesのGlobal MBAランキングでも常連校の一つだ。

最近は、中国にMBAを開設するビジネススクールが増えており、
競争はますます激化している。そんな中でも、常に
ランキングに名を連ねる常連校としての強みを、
皆さんにもお伝えしたい、と思っている。

ぜひ、お越しいただきたい。

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