布留川 勝の人材育成の現場日記

G研報告(146回) 「人材をいきなり送り込んでいませんか? 」(後編)

2017/08/23

グローバル人材育成研究会(G研)

コミュニケーション

ダイバーシティ

 

前回のブログで4月26日(水)に実施した東京での研究会について書いたが、

今回は、その後編に登壇いただいた堀江徹講師のパートについてご報告したい。

堀江講師は、住友商事では財務担当としてロンドン、上海などに駐在し、人事担当としてグローバル人事プロジェクトをリードされ、その後マーサー、ヘイグループ、エーオン・ヒューイット、EYを経て、「日本のグローバル化を組織人事の側面からサポートする」をライフワークに人事コンサルタント活躍されている。また、ご自身も、ロンドン、上海の他に、シンガポール、バンコクに駐在経験もあり、外国人の上司や部下と共に協働もされてきた非常にご経験が深いコンサルタントだ。

今回は、「Global Challenge Program “Management in Overseas”
海外における有効なマネジメントの鍵」と題して、堀江講師の実体験に基づいたプラクティカルな事例をもとにワークも交えながら、セッションを体験いただいた。

堀江講師のセッションでは、「海外における日本企業」がどんな位置づけなのか認識することから始まり、その後で役割、報酬制度、評価制度、育成、サクセッションプランニングなど、実際に海外に赴任した際に多くの方が直面している課題についてお話いただいた。

特に興味深かったのは、日本企業と海外の企業では育成・選抜について、「卒業方式」と「入学方式」という考え方の違いがあることだ。 日本企業では、「現在求められていることが満たせられれば昇格」という考え方(=卒業方式)のもと人材育成が行われる。一方、海外の企業で働く人材は「上位に求められていることが満たせそうであれば昇格できる(=入学方式)」という考えのもと、上位に昇格するにはどうすれば良いかを常に考えている。つまり、海外の企業では、新入社員であっても、「マネージャーにいつなれるんですか?」「私がマネージャーになるために、会社はどんな育成をしてくれますか?」「私は夜間MBAに通った方が良いですか?もし働きながらMBAを取得したら、早くマネージャーになれますか?また、もし行くのであれば、会社は補助をしてくれますか?」というような話を初日からしてくる。故に、卒業方式でずっと働いてきた日本人にとってはこうした質問が嫌で嫌でしょうがない。海外の方は「上に上がる方法を知らないと、先にいけないじゃないですか?」ということを言ってくる。そして、「この会社でこの上にいけないのであれば、この会社にはいる必要がない。」ということで辞めていく。卒業方式で考えている人と、入学方式で考えている人が話すと、双方がイライラしてきてしまうのだ。日本人赴任者が知っておかなければいけないのは、日本で多い「卒業方式」よりも「入学方式」で考える人が多いということだ。海外では、若かろうが、新人だろうが、「入学方式」で相手は話してくる。こうした状況を認識し、海外のスタッフに対してはしっかりと「入学方式」でも説明ができる準備をしておくことが必要だ。

また、今回のセッションでは「採用」について、実際に外国人スタッフを採用するというシチュエーションで、履歴書を見ていただき、「面談で何を聞くか」皆さんにディスカッションをしていただいた。今回の参加者の皆さまは人事業務に携わる方だったので、採用に関して聞くべき注意点等が出ていたが、実際に海外赴任をされる方は、あまり採用の経験がないため、採用時に聞くべきことが聞けないことがある。堀江講師のセッションでは、採用についてもロールプレイングを通じて実践的なポイントを学ぶことができる。

最後に、今回参加された人事の方からは下記のような感想いただいたので共有させていただきたい。
・海外で仕事をする上で大切なことが網羅的に理解できたと思います。
・赴任者の所信表明のポイントを含め、海外企業でも活躍できる人材像が勉強できました。
海外人材の育成は、日本流だけでは通用しないことも参考になりました。
・赴任前にフォーカスした研修の必要性を初めて認識することができました。
・ご経験に基づくレクチャーなので、大変実践的で説得力もあった
・大変実践的な内容で、海外赴任者向けマネジメント層の研修の参考となりました。
・卒業型で育ってきたために、新しい視点を知ることができました。

ここ最近、当社のクライアントである大手企業様の中でも、海外の企業を買収し、日本本社から日本人赴任者を現地へ派遣するものの、こうした違いを事前に知らなかったために、現地スタッフをうまくマネジメントできず、嫌われてしまうということも起きているようだ。赴任者の可能性を現地で十分に活かすために、そして、海外での成果につなげるためにも、海外で必要なマネジメントを事前に知っておく重要性を今回のセッションで改めて感じた。

               セッション後に、堀江氏と専務の福田と

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