布留川 勝の人材育成の現場日記

カーネギーメロン大学のアジア展開と日韓英語事情

2010/12/22

エッセイ

ビジネススクール

英語力底上げ

CMU

先日Carnegie Mellon UniversityAsia Collaboration Program DirectorのJohn Kang氏(写真中央)と、Director of Embedded Software Engineering ProgramのAnthony J. Lattanze氏(写真右)が来日した。

ご存知の通り、Carnegie Mellon University(以下CMU)は全米トップ大学として毎年上位にランクインし、全米屈指の工科大学である。私がProgram Directorを務めるCMUと当社はパートナー関係にあり、過去10年に渡って最先端のエンジニアリングやソフトウェア開発スキルが習得できるプログラムを実施してきた。

今回の来日は、当社の法人顧客に向けて、当社とCMUが新規で共同開発するプログラムを提案する為に実現した。この新規プログラムの特徴は、システム開発の知識とマーケティングの知識を融合させ、従来のシステム開発者が経営面から、組織をリードできる人材に育成することが可能である。
また、ご要望に応じてプログラムは大幅にカスタマイズが可能であることも利点だ。ただ、このような先端のプログラムの実施において、最近改めて浮上してきた課題がある。それは、CMUや最近弊社とパートナー関係にあるビジネススクールから頻繁に相談を受ける日本人の英語力である。そこには他国の競合企業から後れを取る日本企業が早急に解決すべき課題がある。

CMUが現在実施しているシステム及びソフトウェア開発プログラムは、多くの企業にて導入されている。例えば、SamsungやLGなどの韓国企業では、同プログラムは全て英語で実施されている。これらの企業のエンジニアには英語ができないという選択肢がない。そこまで徹底されている。入社試験の時点でグローバルスキル(韓国ではスペックという表現が一般化している)を雇用の基準として掲げている。英語力に関してはにTOEIC900点以上という高い基準を掲げている。

一方で、日本のグローバル企業の多くは英語力の関係上授業には同時日英通訳者をつけざるを得ないという実態がある。コスト面においてもコースのスピードにおいても大きな課題がそこにはある。

昨今管理職の昇進時や入社試験に英語力の基準を設けるかどうかの議論が日本企業において活発化しているが、欧米先進国はもちろん、ASEANにおいてもすでに終了している議論である。
これらのグローバル企業では、英語力ではなく、グローバルビジネスで発揮できる戦略、リーダーシップ、コミュニケーション力、ビジョンなど必須項目をグローバリゼーションの進展に合わせてプログラムのアップデートが行われている。

このブログでも繰り返し警鐘を鳴らしているが、多くの日本企業では、グローバルスキルを持つ人材の確保に向けた対応策が後手後手に回り、グローバル対応力が備わっていないのが現実である。

今回のCMUとの会議においては、グローバル企業のエンジニア研修の最新情報を得ることができた。そして同時に日本企業と日本人のグローバルスキルと英語力の課題が改めて浮き彫りになった。

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