布留川 勝の人材育成の現場日記

日本のビジネス教育

2007/09/11

エッセイ

92ee0e10.jpgミンツバーグ氏「MBAが会社を滅ぼす」のなかで、「ビジネス教育が最もうまくいっているのは、間違いなく日本だ。」、「日本企業のやっていることは、実質的には究極の企業内大学と言えるかもしれない」と述べている。また、欧米企業と比較して、日本の非MBA的なマネージャー育成に対してかなり肯定的である。

私の現場の実感としては、ちょっと見方が違う。MBAという学位そのものではなく、MBA的手法を使った様々なプログラムを開発し、役員から新入社員まで幅広い対象に研修を行っているが、参加者からのフィードバックは非常にポジティブである。

むしろグローバル化の中で、OJTを中心としたマネージャー教育を行っていることの弊害の方が日に日に高まってきている。例えば、多国籍で行われる会議で、最も発言のない(=貢献度の低い)のは日本人である。そして、アジアにおいても、シンガポール、香港、韓国、台湾、また強烈な学ぶ姿勢を持った中国のリーダーやマネージャーと比較し、日本の管理職は、コミュニケーション力、MBA的フレームワーク、自立度、個性などトータルの人間力で劣ってきているのではないかと嘆く日本企業のトップは多い。私も同感である。

8月29日の、「グローバル人材育成研究会」で「コロンビアビジネススクールにおけるエグゼクティブプログラム」(http://www.globaledu-j.com/cms/whats/2007-0903-00001.pdf)を取り上げた。その研究会でも私は、人材育成担当者は、欧米のトップビジネスクールのプログラムをマネージャー育成のリソースとして取り込む必要性を提言した。

ミンツバーグ氏のMBA教育と社会に蔓延している腐敗に関連性があるという指摘には大いに共感を覚えるのだが、「だから、日本企業は旧来型の、新入社員研修、OJT、階層別研修の流れで十分である」というのは話が飛躍しすぎる。激流のグローバル化には対応できない。

多くの大手企業が、MBAへの派遣を中止し、エグゼクティブプログラムへの派遣を増やし始めているのは、やはりグローバル化への対応である。

これから10年のキャリアを見据えると、日本企業の部長や課長にとって、国内でもグローバルでも同じ成果を出せるグローバル人材になることは待ったなしなのである。

写真は、コロンビアビジネススクールのBarbara G. Gyde氏と私。鋭い質問が多く出てQ&Aは30分の予定を延長して1時間行った。

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